ジムニーの純正ショックアブソーバーの寿命について
皆さんジムニーライフ楽しんでますか?
2018年発売のJB64/74、もう2回目の車検も終えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
走行距離も伸び、10万キロを超えている個体も珍しくなくなりましたね。
それだけ愛されるジムニーですが、純正ショックアブソーバーの寿命を考えたことがありますか?
一般的に純正ショックアブソーバーの寿命は80000Km程度と言われています。
結構短いと思いませんか?
それは日本には信号機が多い(交差点が多い)と言う事情があるからです。
【例えば、アメリカと比較してみると
日本の信号機総数は約200000基、アメリカは約310000基。だいたい1.5倍強くらい?でも国土は日本の25倍の大きさ(汗。
アメリカを走ると都市部以外は全然信号機にかからない(笑)ストップアンドゴーが少ないので車が長持ちする国です。だから10万マイル(16万キロ)走った中古車が当然のように高額で取引される。】
このように日本独自の事情(信号機の密度世界一)もあり、80000Kmを目安に交換または点検を推奨されます。
※目安です。
でもね
我々のジムニーは当てはまりませんよ?
軽自動車のショックアブソーバーの寿命は、言われているよりも短いです。おおよそ50000Kmほどで交換目安。少なくとも点検は必要です。
なぜなら
① 普通車と比較しショックアブソーバーが細いので充填されているオイル量も少ない。(でも同じ道を走る)
② 軽自動車はボディサイズには制約があるため、必然的にショックアブソーバーのサイズは変わっていない(変えられない)
③ 年々安全装備や環境装備で重たくなる軽自動車たち。電気自動車やハイブリッドモデルは大変重たいためサスペンションにかかる負 荷が大きい。
④ 軽自動車はショックアブソーバー開発に高いコストは掛けられない。
このように制約が大きい軽自動車業界ですが、ジムニーもこのカテゴリーに属する車種ですよね。(シャシーを共有しているシエラはより厳しい)
ジムニーのカスタムに潜む罠
先述の通り、純正状態で厳しい制約と寿命にさらされているジムニーの純正ショックアブソーバー。
そんな純正ショックアブソーバーへ更なる苦難が襲い掛かります。
苦難①ジムニー特有の足まわり リジットアクスル構造
リジットアクスル構造のジムニーは、オフロードでは無類の強さを誇りますが、オンロードではその弱点が露呈します。
リジットアクスルとは左右が一本の車軸で繋がっており、そこにショックアブソーバーとコイルスプリングがついています。
図1
リジットアクスル最大のデメリットは、片輪がギャップを超えたときの衝撃が反対側のタイヤにも伝わってしまうことです。
一本の棒で繋がっているだけですから、片方が浮けば、片方はテコの原理で沈み込みます。これはオフロードでは素晴らしい働きをしますが、オンロードではデメリットになります。リジットアクスルについての深堀り解説ではないので、この辺にします。
つまり何が言いたいのか と言うと
インディペンデントサス(独立懸架式サスペンション)と比べて、リジットアクスルは片方が休む時間が無く、絶対に両方のショックアブソーバーが機能してしまうということ。
そのため、他車種の倍ほどもショックアブソーバーを酷使しているのです。
苦難② ジムニー特有のカスタム タイヤの大径化にともなうバネ下重量の増加
JB64ジムニーの純正タイヤ 175/80R16はジムニー専用のタイヤサイズ。
そのサイズは軽自動車としては破格の大きさと重さで、巨大なバネ下重量が容赦なくサスペンションに襲い掛かります。
この時サスペンションでは何が起こっていると思いますか?
バネ下重量とは (このブログを見てくれている方であれば一度は聞いたことがあると思います。)
簡単に言えばサスペンションの上下運動に連動して動くものすべての総重量のこと。
※今回はバネ下重量が軽いことによるメリットは割愛します。
ジムニーに大径MTタイヤなんかを装着するとします。するとギャップを超えたときに重たいタイヤは慣性により跳ね上がりますが、重たい為スプリングの力をもってしてもなかなか元の位置に戻せなくなります。
すると次はスプリングが伸びきっていないのに着地となり、逆にボディが余計に沈み込むという現象に変わります。
わかりますでしょうか?
この画像は極端ですが、ギャップでボディが浮く場合、フロントタイヤは一旦上に跳ね上がります。
さてショックアブソーバーはどうなっているでしょう。スプリングは縮んだり伸びたりしているので、それに合わせて動いているだけ?
違います。
ショックアブソーバーを伸ばしたり縮ませたりするピストンにも限界スピードがあるため、それを超えてスプリングも伸びたり縮んだりできないのです。
しかしスピードの乗ったジムニーが軽快にジャンプやバウンドを繰り返しているとショックアブソーバーはずっと限界スピードでの稼働を余儀なくされてしまいます。
大変重たい大径タイヤがドッタンバッタンするのに合わせて動きたいのですが、なにせ重たいので慣性が強くてまともに動けない!!
結果、ショックアブソーバーオイルの劣化を早めてしまいます。
なので、長岡店ではコイルスプリングだけのリフトアップは推奨しておりません。
ショックアブソーバーの延長ブラケットもありますが、できればショック交換をおすすめしています。
ストロークを確保すればOKではなく、リフトアップ後に想定される負荷にオイル容量や減衰力が対応しているか?が大切なので。
苦難③ 流行のルーフラックやリアラダー、インテリアにもごっそりアイテムを追加して、さらにキャンプ道具を満載でウキウキとテンションと車の重心を爆上げ!
まず、バネ上になんでも載せれば、その分沈み込んで、ショックアブソーバーの稼働域を圧迫します。
これはわかりやすいですね?
車両重量が増してショックアブソーバーが縮むと言うことは、縮み側の可動域が減少しているということ。
ちょっとくらいなら大丈夫ですが、ジムニーの純正ショックは上記の制約により、あまり余力がありませんので
知らず知らずのうちに、無理させていることがあるのです。
問題は重心位置の上昇。
今回は横転の心配ではありません。
ショックアブソーバーの寿命を縮める原因の一つとして、積載などでの重心上昇によるロールがあります。
実は荷物をたくさん積んで車体が沈み込んでいるのに、重心は上がっていたりします。
スポーツカーで車高を下げると重心が下がってコーナリング性能が上がる というのは半分正解半分嘘です。
(実際は重心が上がりロールしやすくなるが、固めセッティングの車高調でロールを抑え込んでいます。)
重心の上がったジムニーがコーナーや傾斜地でショックアブソーバーは横転しないように踏ん張ります。
グラグラと右に左に傾くジムニーをしっかり受け止め、少しでも早く態勢を立て直したいのですが、
上に色々載っていて重くてまともに動けない!!
またここでもショックアブソーバーは自分の限界スピードで動こうと頑張りますから、劣化を早めてしまいます。
さて、【純正ショックアブソーバーにここまで過酷な仕事がこなせると思いますか?】
A 無理
ですよねーー。
実はこの苦難③についてルーフラックやリアラダーやキャンプ道具を積まなくても
同じ苦難を与えているジムニーがたまにいらっしゃいます。
それは、純正ショックで、コイルスプリングのみ交換して1インチアップカスタムをしているジムニーです。
この現象については、今度解説しようと思っています。
苦難④ ジムニーだから
この一言でどんな想像ができましたか?
多分ジムニーがオフロードや雪上を平気な顔で駆け抜けるイメージではないでしょうか?
そう。『ジムニーだから』とオフロードに連れ出され、林道を走り、山や海へ出掛けるんです。
降雪地帯であれば、除雪されていない場所へ突っ込んで遊び、雪ドり!(雪上ドリフト)と言いつつ雪の上を駆け回るジムニーが想像できますね。
NBOXやスペーシアカスタムではしない事をジムニーではできてしまうんですよね。
かく言う私も苦難④に加担している一人ですが。(ジムニーちゃんゴメンね。)
ズバリ!!ジムニーの純正ショックの寿命は!?
↓
↓
↓
20000Km
皆)少なっ!
ほとんどの方が、もう俺のジムニーのショック終わってるやん!! って思うかもしれません。
※一応大雑把に計算して出していますが、当てにしないで。
まあまあ落ち着いてください。
常日頃から苦難①~④を全部与え続けている方は、そういないと思いますので、あくまでも最悪値ではあります。
実際20000Km以上走っていても不便なく平気で使えているジムニーも結構いると思っています。
今回言いたいのは20000Km以上持つのか・持たないのか?という論争ではなく、ジムニーのショックアブソーバーに対しての負荷について少しでも知ってもらいたい と言うことです。
それでも上記の解説は説得力ありませんか?(笑)
普段からの積載量とか、どんな大径タイヤを装着しているか、背面タイヤの有無などで変わってしまうので、あくまでも目安です。
では平均的な使用では、どれくらい持つのでしょうか?
平均的な使用 ・片道10Km通勤で、オフロードは走らない
・ルーフラックは載せていない
・1インチアップサスは入れている
・185/85R16くらいのタイヤを装着している
・ほぼ一人で乗っている。たまに人を乗せる
これもまあ適当で何となくです(笑)
この条件ではどのくらい持つのか?
↓
↓
↓
↓
↓
↓
35000Km
皆)やっぱり少なっ!!結局愛車のショック終わってるじゃん!!
※一応大雑把に計算して出していますが、当てにしないで。
ね?交換しましょう(笑)
今回は、ジムニーの純正ショックの寿命について考えてみました。
上記の論理は、時間とお金をかけて実証実験をしたわけではないので、あくまでもナナヨン店長の持論と思ってください。
確かに裏付ける具体的なデータを参照していないので、信じない!!と言う方もいると思います。
それはそれで構いません。
繰り返しになりますが今回言いたかったのは、
『軽自動車の中で破格なジムニーのショックアブソーバーはかなりの負担を受けていると認識してほしい』
と言うこと。
この記事を見て、ショックアブソーバー交換のきっかけになれば、
より良いジムニーライフをご提案できるのではないかと思っています。
じゃあ社外ショックアブソーバーなら50000Kmとか80000Km持つの?
A )もちません。
皆)・・・・
A)ですが、ノーマルショックより過酷な環境でも安定して性能を発揮します。
実は純正ショックアブソーバーも社外品のショックアブソーバーも、内部部品は規格部品を使うので
部品単体で見ればそこまで寿命は変わりません。
※社外ショックアブソーバーでも純正車高、純正サイズのタイヤホイール、積載状況など負荷が同じであれば・・です。
ジムニーで2インチアップキットを装着した車がノーマルサイズのタイヤを履くわけがない!!
結局、社外ショックアブソーバーにしても、その分負荷を与えれば寿命は短くなってしまいますしね。
長くなってしまったのに、ここまで読んで頂けて感謝です。
これを書くのに2週間かかってしまいました。ちょっとでも楽しめればと思いどんどん盛り込んだらこのボリューム。
今回はここまでにします。
楽しんで頂けたでしょうか!?
次の投稿もすでに手を付けています。しばらくお待ちください
(ハンター×ハンターよりは早く投稿できると思いますので安心してください。)
ではまた!